【依頼要旨】
顧問先のマンション(単棟・63戸築8年)。規約上ペット飼育は小鳥小魚以外は一切禁止であるが、不動産屋から飼ってもいいといわれた人、また勝手にペットを飼う人が現れてきた。第2期目の総会で管理組合の対応として一代限り認めることを決議するも、細則については採決できず次期理事会へと申し送りとなったが、その後この案件を放置し現在に至っている。現在ペット飼育者は11名にのぼり、決議後に飼い出している人もいる。管理会社も見てみぬふりをしている。苦情も多くこのまま放置しておけない。第2期の決議は動かせないのできっちりルールを決めて運用していきたいがどうすればよいのか?
【解決に向けて】
ペット飼育は元々禁止でありそのことを飼育者には知ってもらう(規約を見ないことが悪いのであり言い訳は本来できない)ことが第一歩。そしてルール作りが次の段階。ルールは飼育は本来禁止であるためペットが嫌いな人に配慮した厳しいものに。また、運用上は飼育者全員参加のペットの会を作って運用は任せることとを方針として定めた。
まずは、アンケートをとって住民の意見を聞き、また、飼育者を集めて私が趣旨を説明する説明会の開催する等、飼育者、他の住民への周知広報に半年以上の時間を費やした。その上で、ペット飼育者の何名かが腹をくくってペット会ができないとペットが飼えないと真剣に飼育者全員を説得し、ペット会全員加入を実現。また、飼育ルールについても、迷惑をかけないような飼育をするのは当然のこと、飼育に当たり上下左右の部屋の居住者の承認を得ること、エレベーター(1台しかない)を使わない、ペットのものと疑わしき汚れは全てペット会で掃除、等厳しいルールを理事会とペット会で詰めて、別にペット会会則も定めた。しかしながらペットは一切飼育してはダメだという声も根強く(委任状も出さない人を合わせると4分の3の決議は非常に怪しい)、また、ペット細則とすると今後中古物件の売買に当たり不動産屋がペットOKと誤解する恐れもあることを考慮し、総会議案はペットの会の設立とすることとした。ペットの会は別途自分たち定めるルール(変更には管理組合の許可が必要)に従って一代限り飼育を許可することとした。
現在では無事総会でも決議され、ペットの会の定例会も隔月に開催し、管理組合の理事会にも毎月出席して定例報告を行っています。
現在、住民からの苦情、不満もなく、汚れなどには迅速に対応してもらっています。ペット会が理事会との連絡を密にしてうまく機能しているケースです。\r\n成功の鍵は、飼育者に対して角の立つようなことには私のような専門家から客観的な説明をさせ、また、自分たちが感情的になりがちな場合にも、第三者としての視点を持てる私のような立場の人間を管理組合がうまく利用したことでしょう。